スコーレ SEAON 3 アルバム 6(9月1日)

≪明日が変わる6つのメソッド≫2018
最終回

reported by 越川陽介

 

 

「セラピストの私は、気持ちの反射をしようとしていない、だからセラピストに伝え返しをしなさいとはいっていない。私はクライエントの世界の理解が正しいか確認しようとしている。… もう一方の立場では、それはクライエントの視点から見ると、私がそうやって確認することは、クライエントにとっては鏡の様な作用がある。個人的な意味は、誰かがリフレクトしてくれたらより鮮明に見えてくる。…それはセラピストは意図していないけれどクライエントにとっては鏡の作用となっている。これをtesting understandings[理解の試み]、別の言葉で言うとchecking perceptions[知覚の確認]と呼ぶべきだ。」

 

お待たせしました。method6のレポートです。第6回は再び池見陽先生にお越しいただきました。今回は「聴く」をキーワードに傾聴とフォーカシングについてお話しいただきました。冒頭の一節はCarl Rogersが傾聴に関してどの様に理解していたかが書かれていたとある原著の一部です。

日本でも広まっているRogersの傾聴ですが、「クライエントの話の最後を最後の言葉を繰り返す、俗に言うオウム返しをすれば良い」という理解が広まっているかもしれません。しかし、それはRogersも意図したところでなく、そのような広まり方にショックを受けてしばらくの間、技としての傾聴の仕方を公にしなくなり、代わりにセラピストの態度としての中核三条件(受容・共感・自己一致)を示す様になったと言われております。このため、傾聴は「これらの態度の実践」として捉えられる様になっていったそうです。つまり、例えば、共感的な在り方としてその場にいるのではなく、「共感的に話を聞きましょう」という実践として語られてしまっている様です。しかし1975年の著書では冒頭の一節の様に傾聴を捉えており、クライエント側とセラピスト側で異なる理解のサレ方がなされていることがお分かりになるかと思います。クライエント側からみると、まるで自分の感情を鏡の様に反射(リフレクト)しているように感じるかもしれないが、セラピスト側として行なっている試みは、クライエントの話したことに関する自分自身の理解の試みであって、言い換えると自身の知覚の確認であるという様にです。


また、この時期にRogersは中核三条件の内の共感の定義を新たにしており、「共感をしているのは状態ではなく過程とし、他者の体験過程の中の意味の流れを指し示して、その人が意味の流れをフォーカスするのを援助する。それで意味がもっとフルに体験されて体験過程が前に進む。このフォーカシングを援助することが共感である」と示し、フォーカシングを提唱したEugene Gendlinの体験過程理論を土台にしていると述べています。
この様に、共感はセラピスト側の態度であると同時にクライエントのフォーカシングの営みと密接に関わっていることから、傾聴とフォーカシングはセットとして考えることができると池見先生は語ります。

この関連を、最新の原稿や大学院生の逐語録をもとに紹介していただきました。そしてそれらに共通する概念として体験過程の様式(EXP)を紹介していただき、セラピストがクライエントの話を聞く時にこのEXPに注目することが大切であることをお話しいただきました。また、概要だけでなく、池見先生が聴き役をされるデモセッションを行っていただき、その中でtesting understandings用いられ方やEXPの移り変わりなどについて解説頂きました。短い時間ではありましたがEXPの変化の様が見ている私たちも分かり、理解が深まりました。

 


そして最後にペアワークとしてChicago style listeningを体験しました。このワークは上述した傾聴の理解に基づき、それを体験を通して身につけるためのワークです。2つのパートに分かれており、パート1はembodied listening、そしてパート2はtesting understandingsです。
パート1では、話し手は話をするのですが、事実や筋書きに終始するのではなく、自分の気持ちを探索する様に話します。聴き手は邪魔をせず、頷く程度に止め何も言いません。その代わり、その時に聴いていて自分は何を感じているか、どんなことが起こっているかを見続けます。
パート2ではtesting understandingsをします。このパートでようやく聴き手はしゃべることができます。その際は自分がどう理解したかを伝えます。この様にこのワークでは、今回のテーマである聴くということと、話し手がフォーカシングをすることが組み合わされています。
実際にワークを体験してみて、参加者の方からはしゃべってみることで話が展開していくという感想が出たり、ずっと話を聞いてもらうことで途中で煮詰まってきて、聴き手からのtesting understandingがあることで新たな視点がもらえるという感想が出ていました。

 

 

 

今回で本年度のskoleも終了となります。長い様であっという間の半年間でした。様々な独自性をお持ちの先生方のお話を通して、日常生活を淡々と送る中では気づけない豊かな学びを得ることができました。

そしてこのレポートも今回で最終回です。
拙い文章でしたが、読まれる方の学びに少しでもお役に立てておりましたら嬉しいなと思います。

今までお付き合いありがとうございます!またどこかでお会いできましたら幸いです。

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